過労死とは何か
過労死(かろうし)とは、過度な長時間労働やストレスが原因で、脳・心臓疾患や精神障害を発症し、死亡または自殺に至ることです。日本では、健康障害と業務の関連性が強い「月80時間〜100時間の時間外労働」が「過労死ライン」の目安とされ、労災認定の基準になっています。
過労死の主な定義と原因
- 定義: 「過労死等防止対策推進法」に基づき、脳血管疾患・心臓疾患による死亡、精神障害を原因とする自殺、およびそれらの発症を指します。
- 主な要因: 慢性的な睡眠不足、長期間の過重労働(休憩不足)、精神的ストレス(責任感、無理なノルマ)などが挙げられます。
- 前兆: 疲労感、胸痛、冷や汗、息切れ、頭痛、全身のだるさなどが現れることがあります。
過労死が多い背景
- 慢性的な長時間労働と人手不足:
- 業務量に人員が見合っていない、人員不足のまま業務が進行している。
- 特定の個人に仕事が偏る(業務の不均衡)。
- 残業が常態化し、睡眠不足や休養不足が続く。
- 職場環境と企業文化:
- 納期やノルマなどの精神的プレッシャー。
- 職場の上下関係、コミュニケーションの課題。
- 休日や夜間も連絡が取れてしまうIT環境。
- 心理的・身体的負荷:
- 不規則な勤務体制や深夜勤務。
- 強い精神的緊張を伴う業務。
- 個人の健康状態:
- 過労に加え、高血圧や糖尿病などのリスク因子が重なる。
これらの要因が複合的に絡み合い、健康被害にまで発展するケースが長年の課題となっています。
統計・事例、海外との比較も
1. 過労死の統計(最新動向)
2025年に公開された令和6年度(2024年度)の「過労死等の労災補償状況」では、以下の傾向が明らかになっています。
- 労災認定件数は過去最多: 2024年度は、脳・心臓疾患と精神障害を合わせて1,304件が労災認定され、前年度から196件増加しました。
- 精神障害の急増: 1,304件のうち、うつ病などの精神障害によるものが1,057件と大部分を占め、5年連続で増加しています。
- 脳・心臓疾患: 247件が認定。慢性的な過重労働や、発症前1週間に1日3時間以上の残業がある場合などが認定基準となります。
- 過労自殺: 精神障害の労災認定のうち、89件が自殺または自殺未遂でした。
2. 過労死の主な事例・要因
過労死・過労自殺に繋がる主たる要因は、長時間労働、深刻なハラスメント、過重な責任です。
- IT・システムエンジニアの過労死: 日常的な長時間残業、発症前1週間に1日平均3時間以上の残業があり、突然死に至るケース( の事例より)。
- 過労自殺(電通事件など): 職場の強烈なハラスメントや長時間労働(月100時間超など)により精神障害を発症し、自死に追い込まれるケース。
- 名ばかり管理職: 長時間労働を行っているにもかかわらず、管理職として扱われ、残業代が支払われず、労働時間管理も柔軟すぎる(放置されている)ケース。
3. 海外との比較
過労死は日本の現象(Karoshi)として知られていましたが、近年は世界的な課題となっています。
- 世界的な動向(WHO/ILO報告): 全世界で年間74万人以上が、長時間労働やストレスに関連する疾病で死亡しているという統計があります。韓国(gwarosa)や中国(guolaosi)でも類似の現象が報告されています。
- 日本の長時間労働: 日本の労働時間はOECD諸国の中でも高い水準にあり、特に週60時間以上労働する雇用者の割合は、40代・30代男性で10%を超えています。
- 欧州との違い: 欧州諸国(特に北欧)は日本に比べて年休取得率が高く、労働密度やワークライフバランスを重視する傾向があります。
- 労働時間短縮の動き(UAEなど): 海外では週休2.5日制を導入するなど、生産性向上とワークライフバランスのために労働環境を改善する動きが活発です。

「出典 厚生労働省」
英語の辞書に「Karoshi」として英語になる
- オックスフォード英語辞典 (OED): 1988年には既に使用例が記録されており、2002年には正式に掲載されたと言われています。
- その他の辞書: Merriam-WebsterやDictionary.comなど、主要な英英辞典にも広く掲載されています。
2. 辞書での定義
英語の辞書では、概ね以下のように説明されています。
- 定義: “(in Japan) death caused by overwork or job-related exhaustion”((日本において)過労や仕事に関連する極度の疲労が原因で起こる死)。
- 語源: 日本語の「過労(ka-ro)」と「死(shi)」を組み合わせた言葉として紹介されています。
3. なぜそのままの言葉で載ったのか
「過労死」という概念は、1980年代後半の日本のバブル期に社会問題として国際的にも注目されました。英語には「働きすぎによる突然死」を直接表す単語がなかったため、日本特有の労働文化を示す言葉として “Karoshi” がそのまま借用語(Loanword)として定着しました。
現在では、日本の労働問題だけでなく、世界各国の長時間労働を議論する際にもこの言葉が使われることがあります。
過労死を防ぐ取り組み
まとめ・考察
日本の過労死問題は単純に「働きすぎ」の個人的な問題ではなく、社会全体の構造や文化、企業の仕組みが複雑に絡み合った問題です。特に日本はグループの協調性を重んじる為問題があってもみんなが指摘しにくい環境があります。海外の働き方をまねる、会社の上司に外国人を登用するなど別の構造を持って来ることも解決の一つなのではないかと思いました
最後に強調したいのは、過労死は「他人事」ではなく誰にでも起こりうる問題であるということです。


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